タイ国籍取得プロジェクト
アファンの紹介

 

アファン(Afang)は率直で元気がよく、落ち着いた風貌を持つ女性です。
彼女は22歳で、タイ北部にあるチェンライ県メイジャン郡ドンマトゥン村出身です。
外国人の前では静かであまり物を言わず、恥ずかしがりやなアカ族女性の特徴とは正反対です。
彼女は、単刀直入に質問し、人情深く、アカ族であることを誇りに思っています。

ミラーには多くの外国人ボランティアが滞在しています。
英語のほとんどできないアファンとタイ語の全く分からない外国人ボランティアは、意思の疎通に
苦戦しますが、ジェスチャーや他のルームメイトの通訳でわかりあうことができます。
お互いに言葉を教えあうこともありますが、彼女は彼女の文化や人生経験を教えてくれます。
家族、村、そして彼女自身についてです。
彼女は何事にも非常に慎重です。彼女はタイ国籍取得運動のウェブサイトへの正確な情報の掲載を
望んでいます。
アファンはこのインタビューの質問に答えるのにもとても慎重に言葉を選んでいます。
このページでの掲載に関しても彼女は自分自身について語るのを強く望んでいました。
彼女の紹介をすることで多くの山岳民族が抱える問題を外国人に紹介できると考えたからです。

アファン、本名メェ・ボンヤ(Mie Bonya)は、政府発行の身分証明書上はメェ・チャーム(Mie Chermu)と
なっています。
彼女によると、登録のために郡役所に行った時、担当者が彼女の名前をつづることができず、アカ族の苗字として一般的な「チャーム」と書いたのです。多くの担当者にとってはアカ族の人々はみんな同じに映るのです。

アファンはミャンマーとタイの国境近くのドンマトゥン村の両親のもとで育ちました。
一夫多妻が一般的なアカ族ですが、彼女の父は彼女の母のみと結婚しました。母は6人の子を産み、
うち3人は幼い時に原因不明の病で亡くなっています。山岳民族にとって国の医療サービスの利用は
非常に難しいのです。
アファンは、生き残っている3人兄弟の中では一番上のお姉ちゃんです。
団体所属歴は長くないものの、ミラーの取り扱う問題は彼女にとって身近な問題であります。
彼女は地域の会合等での活躍を評価したミラー財団の理事によって採用されました。
驚いたことに、アファンは正規教育を受けたことがありません。彼女はタイ語を流暢に話し、タイ人もその流暢さからアカ族であるということは見分けられないと言います。
14歳で街に働きに出た時から、独学でタイ語の読み書きを習得したそうです。このタイ語能力があるからこそ、アカ語しか話せない多くのアカ族の代弁ができるのです。

アファンに、「なぜそんなにタイ国籍の問題に打ち込むのか?」聞くと、彼女はその質問が理解できないようでした。それは彼女にとって質問にもならない質問だったのです。
彼女は自分に国籍の無いことから話し始め、この仕事が単純に個人的な問題ではないというふうに話してくれました。タイ国籍はタイに住む何千もの少数民族の人々の直面する問題であります。
彼女には、自分の国籍取得のためにも、この国に住む国籍の無いアカ族、また山岳民族のためにも
戦わなければならないという使命感があるようです。

アファンの祖父母は何年も前にキリスト教に改宗しています。そうすることで、もっと人間らしい生活が
できると思ったそうです。アカ族には、双子が生まれると彼らを殺し、その母親も1年間の追放に課せられるという伝統的習慣があります。彼女の祖父母はこれに強く反対しており、彼女も自分の反対する
伝統について語るときは口調が強くなります。
アファンに宣教師について、またキリスト教がどのように文化や伝統に影響を与えたかを聞いてみました。彼女自身はキリスト教徒に改宗しても、アカ族としてのアイデンティティーと文化を守ることができると考えています。
一部の宣教師は山岳民族にうそをつき、騙します。しかし、彼女は聖書の言葉に従って生きている人を見分けます。キリスト教は彼女に世界や身近な人々をいたわることを教えてくれたと言います。以前は村や地域のことに無関心だった彼女も、今では信仰のおかげで強い社会正義や願望を強化できたそうです。

同世代がアカ族であることに当惑したり恥じらいを感じる一方で、彼女の民族に対する誇りの高さの
わけを聞くと、彼女は微笑みました。
そしてわざと質問を質問で返してきたのです。「どうして誇りに思えないのか?」この困難や恥じらいは後付されたものです。勝手に少数民族を影に陥れ、人権や尊厳を無視してきた社会によって、植えつけられたものです。アファンは自分の文化を誇りに思っています。
彼女の持つアカ族としてのアイデンティティーは何世代にも渡って受け継がれてきたものです。
これが彼女であり、彼女は今後もアカ族としてのアイデンティティーを守っていくでしょう。


このページは2006年2月に行われたインタビューをもとに作成されています。

 

 

 
 
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